ペットを飼っていると、車でドライブを楽しんだり、動物病院へ通院したりする機会もありますよね。しかし、可愛いペットとの外出は楽しいものですが、車内に染み付いたニオイに悩まされることも少なくありません。
シートに染み込んだ皮脂や唾液、抜け落ちた毛、時には粗相など、ペット特有のニオイには様々な原因があります。まずはその原因を正しく理解してから、適切な対策を講じることで、より効果的にニオイを除去できます。
この記事では、車にペットのニオイがついてしまう原因から、具体的な消臭方法、さらには予防策まで詳しく解説していきます。
車にペットのニオイがつく原因
車にペットのニオイがつく原因について説明します。
シートに染み付いた皮脂や唾液
車にペットのニオイがつく原因として、シートに染み付いた皮脂や唾液があげられます。
犬の体には人間とは異なる特徴があり、全身にアポクリン腺が存在しています。アポクリン腺は皮脂腺とつながっているため、体全体から皮脂を含んだ粘り気のある汗を分泌します。汗自体にニオイはありませんが、皮脂が酸化すると、そこから雑菌が繁殖し始め、独特のニオイを放つようになります。
また、ペットの唾液も車内のニオイの原因となります。特に夏場は口腔内が乾燥しやすく、唾液や口臭が強くなる傾向にあります。ペットの口臭が車内にこもったり、シートやフロアマットに染み込み、不快なニオイの原因となります。
抜け落ちた毛
抜け落ちた毛も、車にペットのニオイがつく原因となります。汗や唾液がニオイの元だと考えがちですが、実は毛も見過ごせない要因の1つなのです。
毛には大気中のほこりや土、汚れが付着しやすい性質があります。ペットの体から出る汗なども絡まりやすく、これらが蓄積されることで独特の臭気を放ち始めます。
特に厄介なのは、毛が車内のあらゆる場所に入り込んでしまう点です。細かく軽い毛は掃除しづらい場所にまで散らばり、気づかないうちに車内の隅々に潜り込んでしまいます。目に見える場所の毛は掃除できても、シートの隙間やエアコンの通気口など、手の届きにくい場所に溜まった毛を完全に除去するのは容易ではありません。
また、春や秋の毛が生え変わる換毛期には、通常以上に毛が抜け落ちるため、この時期にペットを車に乗せると想像以上の量の抜け毛に悩まされることになるでしょう。
粗相
車の中でペットが粗相をすることで、ニオイにつながることもあります。特に猫の尿は老廃物が濃縮されており、独特な強いニオイを放ちます。車内で猫が粗相をすると、そのニオイがなかなか取れず、深刻な問題になります。
一方で犬の尿や糞も、猫ほどの強さではないもののニオイの原因になります。犬が食べた餌の種類やその日の体調によってもニオイの程度は変わり、消化不良の際にはいつもよりもニオイが強くなることがあります。
車についたペットのニオイを消臭するには
車についたペットのニオイを消臭するさまざまな方法について説明します。
シートをクリーニングする
車についたペットのニオイを消臭するには、シートをクリーニングするとよいでしょう。
前述しましたが、シートに汗や唾液が付着するとニオイの原因となります。このニオイを取り除くには、まずシートカバーが取り外せる場合は、カバーを外して洗濯をすることをおすすめします。洗濯の際には香りの強い洗剤や柔軟剤は避け、植物由来成分や天然酵素成分を原料とした低刺激な洗剤を使用しましょう。着色料や漂白剤、抗菌剤などの化学物質を含まない無添加の製品がおすすめです。
シートカバーが取り外せないものは、重曹が有効です。重曹をシートに直接振りかけ、しばらく放置した後に掃除機で吸い取ると、軽度のニオイであれば効果的に除去できます。ただし、革製のシートでは重曹が変色を引き起こす可能性があるため、使用を避けた方が安心です。
シートに深く染み付いたニオイには、重曹を水に溶かし、その溶液を含ませた布でトントンと叩くようにクリーニングする方法もあります。水の量はバケツ一杯15リットルに対して、重曹を大さじ2杯程度入れるのが理想です。この方法は時間と手間がかかりますが、よりしっかりとした消臭効果が期待できるでしょう。
これらの方法を組み合わせることで、ペットのニオイを効果的に取り除くことができます。
ペットの毛の掃除をする
車内に残っている毛を掃除すると、車についたペットのニオイを消臭できます。毛の掃除が効果的です。ペットの毛は軽くて散らばりやすく、そのために車内に残りやすい性質があります。
掃除機を使ってシートやフロアマット、トランクルーム、そして床下に入り込んだ毛を丁寧に取り除きましょう。目に見えない場所にも毛が潜んでいることがありますので、見落とさずに全体を掃除することが必要です。
シートを掃除する際には、異なる角度に動かしながら、隙間や隠れた場所もチェックするのがポイントです。ここでは、小型の掃除機や粘着カーペットクリーナー(コロコロ)、ガムテープなどを活用すると便利です。窓や天井にもペットの毛が付着している場合があるため、忘れずに拭き取ってください。
掃除がしにくい箇所ですが、エアコンのフィルターも毛が溜まりやすい場所です。可能であればフィルターを取り外して水洗いをし、しっかり乾燥させることをおすすめします。
ダッシュボードやハンドルにも注意を払い、掃除機だけで取り除けない毛はウェットティッシュやモップも使い除去するなどして、満遍なく取り除くことが重要です。
消臭剤を使う
消臭剤を使用することで車についたペットのニオイを消臭できます。ペットのニオイは車の中に強く残りがちですが、効果的な消臭剤を選ぶことで快適な空間を取り戻すことができます。
たとえば、ペットが窓ガラスに顔を近づけた際などには唾液や汗がつき、それが原因でニオイが発生することがあります。この場合には、まずは窓ガラスをきれいに拭き、次に消臭スプレーを使ってニオイの元を取り除きましょう。
市販されている中で選ぶべき消臭スプレーは、ニオイを他の香りで隠すのではなく、ニオイの元にアプローチするものが適しています。一部の消臭剤はペットのニオイと混ざり合って逆効果をもたらすことがあるため、注意が必要です。
安全性が高く、ペットが舐めてしまっても問題のない製品を選ぶと安心です。
車内を換気する
さまざまな消臭方法を試したあとには空気の入れ替えをしましょう。車内のペット臭を効果的に除去するためには、換気が欠かせません。空気の循環を促すことで、消臭効果をより一層高めることが可能です。晴れた日を選び、安全な場所で車の窓やドアを開けて換気を行ってください。
車にペットのニオイがつかないようにできる予防や対策
車にペットのニオイがつかないようにできる予防や対策について解説します。
ペット自身のケアをしっかりする
犬の場合には、3週間に1度のシャンプーを基本とし、日々のブラッシングで毛の汚れを取り除きましょう。口臭防止には歯磨きが大切です。定期的な歯磨きは歯周病の予防にもなります。肛門腺の分泌物はニオイの元となるため、必要に応じて絞るようにし、よだれが多い犬種では、顔周りをこまめに拭き取ることも有効な対策です。しかし、過度なケアは逆効果になることもあるため、その子に合った適切な頻度でのケアをしてあげましょう。
一方、猫は自分で体をきれいにするため、犬ほど頻繁なケアは必要ありませんが、それでも定期的なブラッシングで毛の汚れを防ぎましょう。室内飼いの猫でも、2ヶ月に1回程度のシャンプーが効果的です。歯周病予防には、猫にも歯ブラシを用いることをおすすめします。
これらのケアを習慣化することで、ペットの健康を守りながら車内の快適さも維持できます。
車のシートにカバーをつける
車のシートにカバーをつけると効果的です。ペットを車に乗せる際、直接シートに体が触れると、毛や皮脂、唾液が染み込み、嫌なニオイの原因となります。専用のシートカバーを使用することで、これらがシートに付着するのを防げます。汚れてもカバーは取り外して丸洗いが可能なため手入れが簡単です。
ペットをケージやドライブボックスに入れる
ペットをケージやドライブボックスに入れると移動中のペットの安全を確保しながら、車内の清潔さも保てておすすめです。
ケージやドライブボックスを使用することで、ペットの毛や体臭が直接シートに付着するのを防げます。万が一の粗相があった場合でも、ケージやドライブボックス内に限定されるため、車内への被害を最小限に抑えられるメリットがあります。
また、慣れない車の移動でペットが不安になることもありますが、普段から使い慣れたケージであれば、安心して過ごせる空間となります。ドライブ中の急ブレーキや急な方向転換時にも、ケージが衝撃から守ってくれるため、ペットオーナーも運転に集中できます。
ドライブボックスは慣れるまで家の中で普段から使用しておくことで、ケージと同様にペットが安心できる空間になります。
ケージ、ドライブボックスともに使用前に適切なサイズを選び、清潔に保つことを心がければ、ペットが快適に過ごせる環境を整えられるでしょう。
まとめ
車についたペットのニオイについて解説しました。車内にこもるペットのニオイにはさまざまな原因がありますが、しっかりと予防し、ニオイがついてしまった場合には迅速に掃除と換気をすることで、快適な空間を保つことができます。
ペットとの楽しいドライブを実現するためにも、日頃からの予防と対策が鍵となります。これにより、車をペットのニオイから守り、素敵なドライブを満喫できます。ぜひ実践してみてください。