アンモニア臭の原因と影響
アンモニア臭の発生メカニズム
基本的にアンモニア臭が発生するのは、ペットの尿が原因です。 尿は元々無臭ですが、尿に含まれている「尿素」が空気中の雑菌によって分解されることで、アンモニアになります。
アンモニアは時間がたつと刺激臭を出すようになるため、ペットの尿は素早い処理が必要です。 犬と比較して猫の尿の臭いが強い理由として、猫の尿には尿素のほかに「フェリニン」が含まれているからです。 フェリニンは猫だけが持っている成分で、長時間酸素にふれると酸化して「チオール」という物質に変化し、猫の尿の臭いを強くしてしまう原因になります。
アンモニア臭が与える健康への影響
アンモニア臭は不快感だけではなく、長期間嗅いでいると健康にも影響がでます。アンモニア臭が与える健康への影響は下記のようなものが挙げられます。
・咳や痰、気管支炎など呼吸器系の不調 ・頭痛や吐き気、嘔吐 ・嗅覚障害 ・睡眠障害 ・自律神経の異常など
アンモニアは刺激が強いため、咳や痰、気管支炎などの呼吸器系の不調や頭痛や吐き気などを引き起こす可能性があります。 嗅覚の障害はいつもアンモニアの臭いがある家に住んでいると、嗅覚が慣れてしまうこともあります。 そのほか、アンモニア臭のストレスで自律神経のバランスが乱れてしまい、睡眠障害や自律神経の異常に影響する可能性があります。
アンモニアは刺激が強いため、長期間曝露されると健康リスクも発生するので、臭い対策を入念にしてください。
アンモニア臭が強くなる状況
アンモニア臭が強くなる原因として、「トイレの管理不足」と「ペットの水分摂取量と尿の濃度」が関係しているといわれています。
トイレの管理が不足していると尿や糞が残ってしまうため、家の生活臭と混ざり独特な臭いが発生します。 犬の場合はトイレトレーに尿がこびりついてしまうため、毎日きれいに洗うことがおすすめです。 猫の場合は、汚れた砂だけでなくまわりの砂も処理しなければ臭いが広まってしまいます。
そのほか、ペットの水分摂取量が不足すると尿の濃度が濃くなるため、アンモニア臭が強くなってしまいます。 基本的に水分が不足しても尿に含まれている成分の量は変わりませんが、水分が少ないと成分が薄まらないため、尿の濃度が濃くなります。
そのため、アンモニア臭を防ぐには、トイレの管理とペットの水分摂取量に気をつけるのが重要です。
トイレ環境の改善によるアンモニア臭の軽減
ペットのトイレの選び方と設置方法
ペットのトイレ選びと設置場所を工夫するだけで、気になる臭いの予防に効果的です。 理想的なトイレのサイズと形状は、犬と猫に共通していえますが、広さに余裕を持ったサイズにしましょう。
トイレの設置場所を工夫することで、臭いが軽減されることがあります。 飼い主の目が届きやすいリビングにトイレを設置している家庭も多いですが、たとえば2階建て住宅の場合は、階段下のスペースにトイレを設置するのもおすすめです。
廊下にトイレを設置している家庭もありますが、人の往来が多くペットのストレスになることもあるため、トイレの設置場所は注意しましょう。 1番大事なのは、ペットが落ち着いて用をたせる環境を整えることです。
トイレの頻繁な清掃と消臭剤の使用
アンモニア臭の軽減にはトイレの清掃頻度や方法、消臭剤の選び方も非常に重要です。 犬の場合は、トイレやトイレトレーを毎日1回は除菌や消臭効果のあるスプレーなどで掃除して、週に1回はトイレ全体を水洗いしましょう。
猫のトイレ掃除は、都度汚れた砂やそのまわりの砂を取り除かないと臭いが強くなります。 月に1回は砂を全部入れ替えてトイレを丸洗いする必要があり、トイレ環境を常に清潔にするのが大事です。
消臭剤の選び方は、無香料のほうがペットには優しいためおすすめです。 犬や猫は人間とくらべても嗅覚が非常に鋭く、犬は人間よりも1億倍で、猫も数万〜数10倍ともいわれており、人間には無害でもペットには有害の可能性があります。
消臭トイレシートや砂の効果的な活用法
アンモニア臭を軽減させるためには、消臭効果のあるトイレシートや砂、効果的な取り替え頻度に注意する必要があります。
犬用のトイレシートは薄型と厚型に分かれていますが、厚型は尿を吸収できる量も多く、交換頻度を少なくできるメリットがあります。もちろん薄型にもメリットがあり、「安価なのでこまめにトイレシートを交換したい」という方はおススメです。
猫砂の場合は砂の素材によっても特徴があり、木系や紙系、鉱物系やシリカゲルタイプにわかれます。 シリカゲルの砂は尿がすぐに固まるため1番消臭効果も高いといわれていますが、鉱物は自然の砂の感触に近いのが特徴です。 種類はたくさんありますが、砂の素材は猫の好みに合わせましょう。
ペットの尿によるアンモニア臭対策
消臭剤の活用
消臭機は、スプレータイプと置き型タイプの2種類あります。
スプレータイプは即効性があり、素早く臭いを軽減することができます。簡単に持ち運べるので、ペットと車で外出する際に、車内に残った臭いなどにも活用することができます。
置き型タイプは持続性があり、部屋に篭りやすいペット特有の臭いも継続的に軽減されます。
カーペットや家具の消臭対策
カーペットや家具の消臭対策では、布製品への尿の染み込みを防ぐのと、クリーニング方法が重要です。
家具の消臭対策では、トイレまわりにラグを使うのもおすすめです。ラグは水洗いできるものもありますし、重曹やクエン酸を吹きかけることでアンモニア臭を軽減できます。
さらに臭いを防ぐ方法としては、置き型の消臭剤も効果的ですが一般の消臭剤ではなく必ずペット専用にしましょう。
そのほかの消臭対策としては、ハウスクリーニングも1つの方法です。価格は一般のハウスクリーニングは安ければ10,000円からできますが、ペットとなると価格が安くても20,000〜30,000円になることもあります。
ペットの生活習慣の見直しと予防策
水分摂取量の管理と尿の濃度対策
水分が不足すると尿の濃度が濃くなり、アンモニア臭が強くなる原因にもなります。
ペットに必要な水分量を把握し、1日に数回は水を取り替えて新鮮な水を与えてあげましょう。
水分が足りていない場合は、ペットフードをウェットタイプにすることで水分補給しやすくなります。ウェットフードは一般的に78~82%の水分を含んでいるため、食事から十分な水分補給を行うことができます。
食事の改善と尿の臭いへの影響
食事の改善も尿の臭いに影響します。
人間もコーヒーやニンニクなどの匂いがするものを食べると口臭だけではなく尿も臭ってしまいますが、ペットフードも香りが強いものだと尿にも影響することがあります。尿の臭いが気になる場合は、水分量のほかペットフードを変えてみるのもおすすめです。
最近では、ペット用のサプリメントも販売されています。体内の余分な水分や塩分を排出させたり、尿を酸性化させるビタミンCが含まれている商品が良いと言われています。
定期的な獣医チェックと健康管理
定期的に健康チェックするのは、ペットにとっても非常に大切です。尿や汗などの体液は体調のバロメーターになります。 尿の臭いがいつもより臭う場合、腎臓系の疾患や糖尿病の可能性もあるため注意が必要です。
とくに猫は水をあまり飲まないので、腎不全や尿管結石など腎臓系の疾患に非常にかかりやすく、尿の臭いや色もチェックする必要があります。
動物病院での定期的に検査してもらうのも重要で、通常は3〜4ヶ月に1回のペースですが、高齢になると病気のリスクが増えるので、病院と相談して検診回数を検討するのもおすすめです。